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検察の国策捜査について

2010/09/09 21:44

 

最近は、検察の筋書きに沿った公判が目立つ。

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詐欺罪の助長か?レシート無しの返金

2008/10/23 22:37

 

不正に返金を求めることは詐欺罪に当たる。店側は、このような事態を覚悟していたそうだが・・・

 

 店に返金を求める場合に、レシートがなくても、注文日時や注文の種類によって、まずまずの精度で、注文を特定できるという。確かに、注文入力端末には正確に座席等も含めてその記録が残るし、場合によっては、マーケティング目的にレシートに表示されない性別やおよその年齢もあるかも知れない。

 

 このような事情を知りながら、不正に返金を求めるのは明らかに詐欺罪であるが、このような店の対応には幾分の問題も感じざるを得ない。

 

 上記のように、「特定できる精度のデータがあり、そのデータに当てはまる場合には返金に応じる」とすべきではなかったか。あるいは、もっとデータ照合を行うことを強調しておくべきではないのか。

 

 昨今の倫理観の低下には、うんざりするが、本件のような店の対応は、そのようなことを助長しているのではないか。レシートという証拠を持ってくる場合に限るべきである。そうでないと、精神的に未熟な者の詐欺犯罪者を底引き網ですくって捕まえるようなことになってしまう。

 確かに、不正をするものが捕まるのでいいではないか、という考え方もできる。

 

 しかし、「本来なら生じない犯意」を、生じさせているのも確かではないだろうか。

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被疑者・被告人の供述の変遷

2008/10/22 23:30

 

時系列で並べ替えると以下のようになる。

 

「小川容疑者は店から飛び出した後、避難客と思っていた警察官に自殺未遂の傷跡がある腹を見せ、「死にたかったんですわ」と弁解。持ち込んでいないと主張するキャリーバッグも残骸(ざんがい)が小川容疑者の個室から発見されている。」


「逮捕時の弁解録取では『死にたいと思いバッグに火をつけた。人が死ぬかもしれないことはわかっていた』。その後、接見した弁護人に「人を巻き込もうとしたわけではない」と説明を変えたが、放火の事実は一貫して認めていた。」

「しかし、弁護人が接見で「自暴自棄にならないで」と繰り返し説諭したことから、供述が揺れ始めた。」

「12日には「火をつけた直後に記憶がない時間がある」。17日には「火をつけた記憶がない。キャリーバッグを持って入った記憶もない」と放火そのものを否定し、「たばこを5本程度吸ってから眠くなり、気が付いたら部屋に煙が充満していた」と失火を主張。」

「変遷の理由について、岡本弁護士は「取り調べがきつかったから。『寝てて起きたら火がついてた』と最初に警察に言ったが刑事から『そんな話が通るか』と言われ、しようがないから認めた」と説明した。」


(以上、当ブログ記事に関連付けしているニュース記事「…供述の変遷」からの引用)

 

 被疑者・被告人(以下「被疑者」とする。)の供述の変遷については、大雑把には2通りある。

 まずは、被疑者が捜査機関の取り調べについて無知で、逮捕時・取調べ時に運用でなされている権利の告知を十分に理解していない場合。これは、本件では、「刑事から『そんな話が通るか』と言われ、しようがないから認めた」というような部分が当てはまる。最初は、気が動転していたことと、十分な刑事法の知識のなさから悔悟の気持ちの中にあって警察官の厳しい追及に沿った供述をしてしまい、後に冷静になってから当時の正確な事実を供述するということで変遷する。

 他方は、被疑者が検挙された際に、犯行が衝動的であるほど、供述も衝動的に警察官の調べに沿うように供述する場合。この場合には、正直に話しており、記憶も新鮮であり、後の供述変遷は虚構であることが少なくない。また、支援者や弁護人からある重い犯罪から軽いものへ嫌疑を落とすアドバイスを受け、一部を否認に転ずるということも多い。

 

 大雑把にと留保したのは、往々にして両者が織り交ざっている場合があるからである。本件の場合には、上記の「刑事から・・・といわれ、しょうがないから認めた」という以外に、非常に不自然な「放火そのものを否定し、「たばこを5本程度吸ってから眠くなり、気が付いたら部屋に煙が充満していた」と失火を主張」という部分が、後者の場合に当たるといえる。

 

 ここで、犯罪構成要件についても検討すると、現在建造物放火の場合は罪が重く、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役(刑法108条)である。

 本件では、被疑者が「死にたかった」ということと、ライターによる放火の事実で本罪はほぼ認められる。

 

 加えて、殺人罪については、自己の行為によって人が死ぬことの認識認容があれば、殺人の故意は認められる。本件では建物の構造から、また現に多くの人が個室に入っていることを被疑者が知っていれば足りるであろう。

 

 そこで、燃え移って他人まで死ぬことまでは、とても認識していなかったというのであれば、過失致死罪に下がる。(火傷の傷害を負うかもしれないというのは、中途半端で認定されにくいだろう。放火で建物の構造を知っていれば、死ぬかもしれないことは認識できたとされるからである。ここは、弁護人不利といえども一つの争点にはできる。

 

 さて、供述の変遷の果てである失火罪の主張である。これは、殺人・過失致死とは違い、放火罪につき、ライターの火をまわりに燃え移らせる故意がなかった、ことから失火罪に下げるということである。

 まあ、救出直後の弁録で、「死にたかった」と言ったこと、検察官の面前の供述で、放火を認めていることから、難しいだろう。

 

 今回、検察官の取調べでは、録画が使用されている。取調べの全過程の可視化には応じていない検察庁であるが、一部有利な部分は既に用いている。このことは、他でもない裁判員裁判において、裁判員に効率よく事実を知らせるためのものとしている。これに対し、日弁連は、一部では有利な部分のみを用い、不利な部分は出てこないから、録画を使う場合は全過程でなくてはならないと反論しているところである。

 しかし、先日の裁判例((後で記事追加予定))のように、裁判所は弁護人の主張を容れ、証拠採用されなかった例もある

 

 本件では、被疑者供述の変遷について公判でどういう展開になるか裁判自体の帰趨も気になるところではあるが、その変遷に関連して「供述の録画」に対して、どのような判断がなされるかにも、注目したい。

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死刑の適用基準:戦後の判例

2008/10/22 00:43

 

   

 

 

 

 

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疑いが疑いを生む会見

2008/10/21 21:32

 

多くの国で身内による調査が無意味であることはいうまでもない。ロス郡検察当局に関してもそうだろう。検視局と監察局が別組織だとしても身内であることには代わりはない。

 

現地遺族の代理人、ゲラゴス氏の言うとおりに、連邦検視局の調査に付することにすればよい。ロス市警もどうどうと連邦検事局に再調査を任せればいい。 

 

今回の会見はそれを避けたい目的で行われているだけな様な気がする。

 

 

内部告発でも出ないだろうか? 自分の命と引換えでは代償が大きすぎるから出るまい。

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排除できない他殺の可能性と新証拠がなかったこと:三浦氏事件

2008/10/20 23:43

 

当ブログでも指摘してきたように、自殺ではない、また新証拠もなかった可能性が出てきた。

 

 私は、当初から、ロス市警への身柄引き渡しにおいて、なぜ留置所にするのか、疑問を呈し、さらに留置所であったにせよ、監視体制を特別にするべきなのは当然であると述べてきた。それは、米国においては留置所における警官とのいざこざに起因する事件・事故が絶えないからである。そこに、一度日本で無罪とされた被告人を同様な処遇下に置くことには問題が大きすぎた。

 

 また、昨日(又は一昨日)には、ロス郡検察局が「新証拠はなかった」旨を述べている。当時の証拠でも、陪審員の有罪の評決をえられる見込みだと考えたからだそうだ。

 ところが、ゲラゴス氏が弁護人を引き受けたことは、彼らにとって意外なことであったことは想像に難くない。このことは、陪審員裁判の怖さを物語る。 

 

 そこで話を元に戻さなくてはならない。三浦氏を有罪に処することに執念を燃やしてきたロス市警のジャクソン捜査官は、以前に(サイパンで)「逮捕できたことは満足」と述べ、移送の決定があったときも満足そうであった。しかし、いざ起訴の段となると、検察官の見立ても、上記のように、厳しくなっており、ゲラゴス氏の逮捕無効の申し立ても裁判所で審理されることになったことから、非常に分が悪くなってきたことを自覚したのであろう。

 

 米国の地方捜査機関のずさんさ、さらには人種に対する平等意識の希薄さは論を待たず、依然深刻であるといえよう。

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刑事手続の原則を問い直す。

2008/10/18 11:38

 

どうも、「原則」が軽んじられている言論が目立つので、ここで一体、刑事手続とは何なのかを大雑把に確認しておきたい。

 

 ある人に犯罪の嫌疑があれば、捜査機関が、法律に基づいて、取調べをすることができる。その被疑者の嫌疑が高く、かつ身柄拘束の必要性、すなわち罪証隠滅、逃亡する疑うに足りる相当な理由があれば、裁判官の審査を経て発布される令状に基づいて逮捕・勾留ができる。

 

 それ以前に、できる限り、人権制約を伴わない方法で捜査はなされるべきであるという任意捜査の原則がある。

 

 勾留されている被疑者に嫌疑がないと認められれば、直ちに釈放しなければならない。また、罪証隠滅・逃亡するであろうという十分な理由がないと認められるときも同様である。

 

 嫌疑があり、それに見合った刑を科すことが妥当である場合にはじめて、検察官は訴追(起訴・公訴提起)する(この時点から、被疑者は被告人となる)。対して、嫌疑があっても、刑を科すことに意味がない場合・有罪立証が困難な場合には不起訴にする。

 

 刑事裁判では、被告人が行った犯罪に対して、検察が犯罪事実につき立証し、被告人・弁護人はこれに対する防御をし、裁判所は法律の定める範囲内で、その被告人に妥当であると考える刑罰を宣告する。

 

 最後の刑罰を決めるに当たっては、社会一般の処罰感情、被告人の更正、既に受けた社会的制裁、再犯の可能性他、一切の事情を考慮してなされるべきである。

 また、真相を明らかにするのは、上記のことから、科刑のために必要な範囲であり、それ以上に渡ることは必要ないのである。

 

 最後まで真相が明らかにならなかった。ということは、犯罪の全貌を知る必要、たとえば犯罪発生の理由を考えて、今後の予防に役立てる等には、有用かもしれない(もしかしたら、興味本位であることも少なくない)。

 しかし、全貌を明らかにすることは、上述のように、刑事裁判手続の役割ではない。あくまで、立証された犯罪事実の範囲で妥当な刑罰を科すことが目的でなのである。その検察官の立証する犯罪事実の範囲も、検察官の自らの裁量により、一連の犯罪の一部しかなされないことも多いのであり、刑事手続の趣旨からしてもこのことは妥当なのである。

 

 

 三浦氏の件では、強行に、古い事件に対して、身柄拘束という公権力行使をなし、訴追するのは妥当ではない。

 真相の究明のために許されるのであれば、殊に一度無罪とされた人を拘束することは、人権の著しい制約である。純粋に真相究明したいのであれば、何か別の方法で行うしかないのである。刑事手続は、被告人の妥当な科刑のための手続でそれ以上の目的はないからである。

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障害基礎年金不支給決定取消等請求事件

2008/10/17 23:14

 

最判平成20年10月10日 破棄自判 今井裁判官(裁判官出身)の反対意見あり。 (行政事件訴訟(抗告訴訟(取消訴訟)))

 

裁判要旨:

統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において20歳未満であったことが医学的に確認できた者であっても,初診日において20歳に達していた場合には,国民年金法30条の4所定の初診日要件を満たすものと解することはできない

 

 一連の学生無年金訴訟事件の一判例です。つい最近、当該病名と認識されていなくても、20歳未満で医師の治療を受けていれば、初診日に当たる、とする拡張解釈を認めるかどうかということ(結論は当たらない)で新聞記事になっていたものです。

 

 原審(東京高裁)は、一審判決を是認し、初診日が20歳前であることとする「初診日要件」は、疾病症状が発生すると、それに基づき診察を受けるであろうことから認められる要件であり、これについて統合失調症の特質から、すぐに固有の症状が出ずに、医学的に20歳前に診察を受けるべきであったことは明らかであるとして、初診日要件は満たされているとして、社会保険庁の不支給決定を取消すとの判決をしていた(原告勝訴)。

 

 これに対し、上告審では、厳格な文理解釈のもと、原審を破棄、一審判決の被上告人(原告・被処分者)の請求を認めた部分を取り消す判決をした。すなわち、原審の認めた、20歳前障害年金支給を認めないとの被上告人逆転敗訴としたものである。

 

 今井裁判官の反対意見は、制度の趣旨として、国民年金は拠出型であるが、20歳前給付の制度は社会保障に基づく別の制度趣旨を持つから、類型的に初診日を特定することが困難な場合には拡張解釈が合理的な場合があるとし、実際に知的障害の場合の例を挙げている(統合失調症と知的障害を比較することの是非については別問題である。)。

 

 このような、実質的な解釈に対し、伝統的に立法府の裁量による制定法を尊重する最高裁・法廷意見は、文理解釈に忠実であり、安易な拡張解釈を認めない。すなわち、立法裁量、国会が法律を変更する等の民主的な過程によって解決すべき問題としているのである。

 

(以下、下線は筆者。)

法廷意見

・・・被上告人が初診日要件を満たしているとした原審の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
・・・ 国民年金法30条1項は,いわゆる拠出制の障害基礎年金の支給要件として,障害の原因となった疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)の診療を受けた日において被保険者であることなどを定めている。そして,同項は,疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師等の診療を受けた日をもって「初診日」という旨規定しており,20歳前障害基礎年金の支給要件を定めた同法30条の4にいう「その初診日において20歳未満であった者」とは,その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師等の診療を受けた日において20歳未満であった者をいうものであることは,その文理上明らかである。

  上記のとおり,国民年金法は,発症日ではなく初診日を基準として障害基礎年金の支給要件を定めているのであるが,これは,国民年金事業を管掌する政府において個々の傷病につき発症日を的確に認定するに足りる資料を有しないことにかんがみ,医学的見地から裁定機関の認定判断の客観性を担保するとともに,その認定判断が画一的かつ公平なものとなるよう,当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害基礎年金の支給に係る規定の適用範囲を画することとしたものであると解される。

  原審は,統合失調症について,発症から医師の診療を受けるに至るまでの期間が長期化しがちであるという特質があることなどを理由として,統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において20歳未満であったことが,医師の事後的診断等により医学的に確認できた者については,初診日要件を満たすものと解するのが相当であるとするのであるが,このような解釈は,前記各条項の文理に反するものであり,また,国民年金法が画一的かつ公平な判断のために当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害基礎年金の支給に係る規定の適用範囲を画することとした前記の立法趣旨に照らしても,採用することができない。」

 

反対意見

「  裁判官今井功の反対意見は,次のとおりである。 

  私は,被上告人は,20歳前障害基礎年金の受給権を有するものであって,被上告人に対し,同年金を支給しないこととした本件処分は違法であるから,この点に関する被上告人の請求を認容した原判決は正当であって,本件上告は棄却すべきものと考える。その理由は次のとおりである。

  1  国民年金制度は,加入資格を20歳以上60歳未満の者とし,所定の事由が発生したときに,保険原理に基づいて老齢基礎年金,障害基礎年金等の給付をすることを基本としている。この制度の加入者(被保険者)に対する障害基礎年金は,拠出制の年金であって,社会保険原理に基づき,被保険者が疾病等により所定の障害の状態になったときに支給されるものである。これに対して,20歳前障害基礎年金は,国民年金の被保険者資格を取得する年齢に達する前に疾病にかかり又は負傷し,重い障害の状態になった者について,稼得能力の回復が期待できないことから,このような者に対し,拠出制年金の補完として,社会福祉原理に基づき,一定の範囲で国民年金制度の保障する利益を享受させるべく制定されたものである

  このような制度の趣旨からすると,拠出制年金についても,被保険者である者が疾病等により障害を負って稼得能力を失った場合にこれを保険事故として補償するのが保険制度の本来の在り方であると考えられるが,特に,20歳前障害基礎年金については,社会福祉原理に基づく給付という性格にかんがみ,20歳未満の者が疾病等により障害を負って稼得能力を失った場合に一定の給付をするのが制度本来の在り方であるということができ,これによれば,給付をするか否かの基準時としては,疾病についていえば,発病時を基準にして支給要件を定めるのが相当であると考えられる。

  ところが,障害基礎年金の支給要件について,国民年金法は,初診日において被保険者であること(拠出制年金)又は20歳未満であること(無拠出制年金)とし,疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師等の診療を受けた日をもって「初診日」とする旨を定めている。

  初診日要件が定められたのは,多数意見の述べるように,国民年金事業を管掌する政府において個々の傷病につきその発生日を的確に認定するに足りる資料を有しないことにかんがみ,医学的見地から裁定機関の認定判断の客観性を担保するとともに,その認定判断が画一的かつ公平なものとなるよう,当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害基礎年金の支給に係る規定の適用範囲を画することとしたものであると解される。この規定は,疾病についていえば,発病の時期と医師の診療を受ける時期とが近接している一般の疾病については,大量の事務を迅速に行う必要があることから,客観性の担保,画一的かつ公平な処理という見地から定められた基準として合理的な根拠を有するということができる。なぜなら,一般の疾病においては,発病すれば何らかの自覚症状があり,医師の診療を受けるのが通例であり,発病により医師の診療を要する状態になった時期と初診の時期とはそれほど遠くはないのが通例であることから,発病の時期と医師の診療を受ける時期とは近接しているという事実が存在するからである。しかし,類型的に見て,発病と近接した時期に医師の診療を受けることが期待できない特段の事情がある疾病については,初診日要件を厳格に守ることが制度の趣旨からして必ずしも合理性があるとは考えられない

  2  上記のように,一般の疾病については,発病すれば何らかの自覚症状があり,発病後遠くない時期に医師の診療を受けるのが通例であるのに対し,統合失調症の場合には,患者に病識の欠如があるのがこの疾病の特色であること,発病当初は統合失調症に特有の症状は現れにくく,ある程度の期間が経過した後に特有の症状が現れることから,患者はもちろん,周囲の者からも発病したことが認識し難く,場合によっては医師でも正確な診断は困難な場合があること等の疾病の性質から,類型的に見て,発病後速やかに医師の診療を受けることが期待し難いため,一般の疾病と違い,発病したからといって,早期に医師の診療を受けるという実態は少なく,医師の診療を受けるのは,発病後ある程度の期間をおいてからであることが通例である

  このような統合失調症の特殊性からすれば,発病の時期と初めて医師の診療を受ける時期との間には,相当の時間の差があり,一般の疾病と同様に,初診日を基準として,受給要件を定めることには,医学的な根拠を欠くといわざるを得ず,初診日要件を厳格に遵守する結果,制度の趣旨に沿わない場合が生ずることは否定できない。特に社会福祉原理に基づく無拠出制の年金については,発病の時期が20歳前であることが事後的にではあっても医学的に確定できれば,支給要件を満たしたとすることには十分な合理性がある。むしろこの解釈の方が,20歳前に稼得能力を失った者に対する社会福祉原理に基づく給付という立法趣旨に合致するということができる。

  3  以上のような解釈は,国民年金法が支給要件として定める「初診日」についての拡張解釈であることは否定できない。しかし,法律の文言を厳格に遵守することによって,制度本来の趣旨に大きく反する結果を招く場合に,その結果を回避するために拡張解釈が許容される場合があることも事実である。本件のような統合失調症に係る20歳前障害基礎年金の支給要件の解釈については,拡張解釈が許容され,むしろ拡張解釈をすることが制度本来の趣旨に沿うものと考える。年金行政の実務の運用として,知的障害及び先天性の身体障害については,20歳前に医師の診療を受けたかどうかを問うまでもなく,一律に,初診日において20歳未満であった者として,20歳前障害基礎年金を支給する取扱いがされていることも,上記のような拡張解釈の一例ということができる

  4  原審の適法に確定するところによれば,被上告人は,20歳に達した後の昭和56年5月27日(当時の年齢は,21歳2か月)に診断を受けるまでは,統合失調症に起因する症状について医師の診療を受けたことがなかったのであるが,遅くとも19歳の時点で統合失調症を発病し,精神科医による診療を必要とする状態にあったことが医学的に証明されているというのであるから,20歳前障害基礎年金の受給要件を満たしているということができる。

  5  よって,被上告人は20歳前障害基礎年金の受給資格を有しているというべきであり,被上告人の請求は理由があるから,これを認容した原判決は正当であって,本件上告は棄却すべきである。」

 

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訴追取り下げも調査の必要性大

2008/10/15 21:11

 

被告人死亡で、起訴の取り下げは、通常の処理であるが、本件においては、刑事手続外でまだまだすることがある。

 

二段ベッドがあるが、独房として使用されていた?

その独房は、監視カメラの視野外であった(他の房は映っている)?

2、30分おきに巡回で、最後の巡回から10分後に自殺?

 

当人は、国際電話で日本の弁護士と話をしたいと申し出ていた。

食事に油分を使わないで欲しいと、面会に来た日本の領事を通じて要望していた。

…他にも自殺する動機に反する事情が多い。

 

現地の(元)弁護人も警察の外部のものによる調査が必要とし、また自殺に用いられたシャツを保全する手続を行っている。

 

できれば、新証拠とはいかなるものだったのかも明らかにすべきではないだろうか? 刑事手続き上は必要がないにせよ。情報開示を求める方法はないであろうか。

 

今後は、この件の報道は減っていくと思われるが、引き続き注視していきたい。

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証拠開示命令が是認される範囲――警察官が公式ではなく作成したメモにまで及ぶ

2008/10/14 23:01

 

 先月末に確定した特別抗告事件です。職権判断が示されており、証拠開示命令請求についてのものです。

 裁判員裁判では必ず行われる「公判前整理手続」に関するものであり、今後実務の先例となるもので注目に値します。(なお、本件は下級審で決定が出た段階で既に新聞等で報道されているものです。)

 

 公判前整理手続とは、連日開廷、集中審理のために、あらかじめ公判前に、裁判官、検察官、弁護人で、争点を明確にしておくための手続です。

 しかし、証拠は圧倒的に捜査機関が保有し、検察官はそれによって公訴事実について挙証するので、なんらの強制的証拠収集ができない被告人・弁護人は圧倒的に不利です。

 そこで、弁護側には、検察官が立証のために出さない、しかし手中にある証拠で被告人に有利なものと考えられるものを、裁判官が検察官に対し弁護人にその証拠を開示するよう命令することを、弁護人は裁判官に請求することができるのです。

 

 本件では、被告人を取り調べていた取調官(警察官)が、自費で買ったノートに取調べについてメモとして記録していたものであり、職務上作成が義務付けられていないものが、開示命令の対象となるかが問題となっていました。

 弁護人は、そのメモによって、検察官が証拠として出そうとしているものの信用性を判断するために必要として、裁判官に証拠開示命令の請求をして認められたものの、検察官はそれを判例違反として抗告(不服申し立て)していたものです。

 

 ところで、このようなメモまで、弁護人の請求によって、開示させられてしまうのなら、いっそのこと、警察官はそんなメモを今後作らないことも考えられますし、メモが必要であっても事件を検察庁に送った段階で、廃棄してしまうことが考えられます(実際にあったようです)。

 しかし、それはそれで、たいていメモは公式なもの以外にも取調官個人で作っているもので、それを捨てたというのなら、「検察側に不利だから」という推定が働きますから、弁護人としてはその廃棄されたとの事実を裁判員に伝えることになります。そのことで、裁判員に対し取調べについて疑念を抱かせられるということになります。

 

最決平成20年9月30日最高裁HPへのリンク)

上告棄却  反対意見1、補足意見1

 

裁判要旨

 警察官が私費で購入したノートに記載していた取調べメモについて,捜査の過程で作成され,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易な証拠に該当するものであり,また,弁護人の主張と一定の関連性が認められ,開示の必要性も肯認することができないではないなどとして,証拠開示を命じた判断が是認された事例

 

法廷意見のエッセンス(抜粋、「注:」は筆者)

「・・・ 本件メモは,B警察官(注:後で出てくるAを取り調べた取調官)が,警察官としての職務を執行するに際して,その職務の執行のために作成したものであり,その意味で公的な性質を有するものであって,職務上保管しているものというべきである。したがって,本件メモは,本件犯行の捜査の過程で作成され,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易なものに該当する。また,A(注:被告人の知人で、供述を変え、被告人が犯行をした旨の話を聞いていたことを、後に検察官に供述した。この供述を本文中で「新規供述」と呼んでいる。)の供述の信用性判断については,当然,同人が従前の取調べで新規供述に係る事項についてどのように述べていたかが問題にされることになるから,Aの新規供述に関する検察官調書あるいは予定証言の信用性を争う旨の弁護人の主張と本件メモの記載の間には,一定の関連性を認めることができ,弁護人が,その主張に関連する証拠として,本件メモの証拠開示を求める必要性もこれを肯認することができないではない。さらに,本件メモの上記のような性質やその記載内容等からすると,これを開示することによって特段の弊害が生ずるおそれがあるものとも認められない。

 そうすると,捜査機関において保管されている本件メモの証拠開示を命じた原々決定を是認した原判断は,結論において正当として是認できる・・・。」

 

参考: 反対意見(全部抜粋) ちなみに甲斐中判事は検事出身です。

「 裁判官甲斐中辰夫の反対意見は,次のとおりである。
私は,原決定が,本件メモは「被告人側の主張との関連性」及び「必要性」があるものと認めた点において,明らかに刑訴法316条の20の解釈を誤り著しく正義に反すると認めるので,原決定を破棄し,証拠開示命令請求を棄却するべきものと考える。その理由は,以下のとおりである。

 本件メモは,刑訴法316条の20にいう主張関連証拠として開示請求がなされているところ,弁護人が,上記の開示請求をする際には,同条2項2号により刑訴法316条の17第1項の主張と開示の請求に係る証拠との関連性を明らかにしなければならない。そして,同項による「証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張」の明示義務は,争点の明確化と審理計画の策定のために課せられるものであり,可能な限り具体的な主張であることが求められている。

 ところで,取調べメモを証拠開示請求する場合には,取調べ状況やその際に作成された調書の信用性を争点とするべきところ,本件においては,弁護人は,新規供述に沿う事実を否定し,新規供述に関する検察官調書あるいはAの予定証言を争う旨の主張をしたものの,B警察官のAに対する取調べ状況やその際の供述内容の信用性については争点とせず,一切主張していない。したがって,本件メモの開示請求の前提となる事実上の主張を具体的にしておらず,少なくとも本件メモとの関連性を明らかにしていないものといわざるを得ない。

 さらに,開示の必要性についても,原決定は,「A証人が従前の取調べでどのように述べていたかは重要な争点となるから,・・・その(本件メモ)記載が新たな角度から意味をもってくる可能性は否定できず・・・」として本件メモの開示の必要性があるものと判断している。

 しかし,本件では,検察官はAのB警察官に対する供述調書を開示済みであり,弁護人も,同調書に新規供述に関する事項についての記載がないことは争っていないのである。したがって,Aが従前の取調べでどのように述べていたかが重要な争点とはなり得ない。あえていえば,A証人が新規供述に関する事項について,警察官と調書外で何らかのやり取りがあり,それが本件メモに記載されていることが仮定的な可能性としては考えられないでもなく,原決定の「新たな角度から意味をもってくる可能性」とは,そのことをいうものとも解される。しかし,原決定は,本件メモを検討の上,自ら「本件メモ自体は,その内容からして証拠価値に乏しいものともいえる」としているのであるから,上記のような可能性はおよそ考え難いところである。

 さらに,一般に取調べメモの開示請求をする場合は,当該取調べ担当官の証人請求がなされた上で行うものであるが,本件ではB警察官の証人申請がなされておらず,警察官調書作成の際の取調べメモのみが開示請求されているのであり,その請求の方法からしても必要性は乏しいものといわざるを得ない。
私は,主張関連証拠の関連性,必要性等の判断については,法律審たる当審は原則として事実審の判断を尊重すべきものと考えるが,双方の主張の明示義務は争点整理のために重要であり,関連性,必要性等の判断は具体的に検討されるべきことが法律上予定されているので,そのような観点から,本件については,多数意見に反対するものである。」

 

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